Vol.3 地図訂正(シリーズU)(平成9930日発行)

旧台帳附属地図の訂正と国土調査法等の成果図(法第17条地図)の訂正
Q1 公図(台帳附属地図)の地番配列の訂正はどうすればよいでしょうか
Q2
公図(台帳附属地図)の空白地への地番記入はどうすればよいでしょうか
Q3
国土調査法の成果図(地籍図)の訂正とはどういう事ですか
Q4
筆界線(点)の訂正はどのようにしていますか
Q5 筆界未定地の是正はどうすればよいのでしょうか
Q6 現地確認不能地の訂正はどうすればよいのでしょうか
Q7
地図訂正に応じられない事例がありますか
権利関係
Q1 買収予定地に「条件付所有権移転仮登記」(条件農地法第3条の許可)という仮登記があり、
   調査の結果この仮登記上の権利者は既に死亡していることが判明しました。
   今般その相続人との話し合いにより、この仮登記を解除しその抹消登記を申請することになりました。
   その手続きについて説明して下さい

Q2
代襲相続について説明して下さい(シリーズ「相続人の確定」その1
Q3
宗教法人の登記がされていない神社(旧宗教法人)が、明治後期に所有権登記して
  
ある土地を買収することになりました。この神社は現在、周辺の一部住民により管理されているだけで、
   神社を代表する者などはいないようです。どのように手続きを進めていけばよいでしょうか

Q4
相続人の範囲と法定相続分について説明して下さい
Q5
昭和5611日の民法改正前後では、相続分にはどのような違いがありますか。
   具体的な例を示して説明して下さい

旧台帳附属地図の訂正と国土調査法等の成果図(法第17条地図)の訂正
Q1.公図(台帳附属地図)の地番配列の訂正はどうすればよいでしょうか。

A 現地と登記所に備え付けられている公図の地番が、地図作成当時から相違している場合、地図が作成された創設的境界が確定された時点からの誤りを訂正する手続きです。
調査上の注意点
1.現況の使用境界が相違することだけで地図の訂正は出来ません。事実上の所有権の移動が有りながら、分筆登記の手続きを経ないまま至っている場合などは地図訂正を方便とは出来ません。
2.ある程度の精度が保たれている地図にあっては、登記簿の地積と公図上で求積し面積との対比が必要となります。著しく相違するようなときは、1.の事例が考えられます。
3.地図の作成された当時の地番の附し方を調査する。改組図等は、地押調査の順に地番を附した事例が多いといわれていますから、当該地番の周辺の地番順序に不自然なことがないか等も調査する必要が有ります。
添付資料
1.市町村税務課等の備え付け図面
2.地租改正に関する地図(地引絵図・一筆限図等)
3.地元の古老、地域の土地の事情に熟している者の証明(印鑑証明書付き)
4.隣接土地所有者等の証明書(印鑑証明書付き)


Q2.公図(台帳附属地図)の空白地への地番記入はどうすればよいでしょうか。

A  登記されている土地は現実には存在するが、公図上には記載がなく該当すると思われる公図上の位置が空白になっている場合.公園の誤りなのか、もともと無地番土地なのかの判断が非常に難しい事例です。
調査上の注意
1.該当する事例の土地の公図の精度はきわめて低い場合が多いようです。したがって、該当土地のみならず周辺の土地の状況等の把握が必要となり、地番の空白の有無の確認が必要となってきます。
2.地域的に地目が相違する部分(山林と耕地)で空白地が存在することが有ります。
3.字区域以外に飛び地が存在することが有りますから、他の公図に飛び地が存在しないかどうかの確認が必要です。
4.大蔵省所管の国有財産、建設省所管、農林水産省所管の国有財産(開拓財産・国有農地等)脱落地等土地台帳作成以前の土地の状況の確認が必要です。
添付資料
1.空白地が国有財産でないことの証明書
2・地元の古老、地域の土地の事情に熟知している者の証明(印鑑証明所書付き)
3.隣接土地所有者等の証明書(印鑑証明書付き)
4.市町村税務課等の備え付け図面
5・地租改正に関する地図(地引絵図・一筆限図等)


Q3.国土調査法の成果図(地籍図)の訂正とはどういう事ですか

A 国土調査の成果である地籍図及び地籍簿は、公告の日から20日間一般の閲覧に供された後に、上部機関の認証を受けてその写しが登記所に送付されて釆ます(国土調査法第17条、20条第1項)。
そこで、登記所では、これらに基づいて所要の登記を職権でなし、送付された地籍図の写しは、特別の事情のない限り法17条地図として登記所に備え付けるものとしています。(不登準則第28条第1項)
一般的に、登記所に送付された後の成果の誤りを修正する場合には、通常、実施機関が市町村であることが多いので、地方税法381条第7項の規定に準じ当該市町村の長から管轄登記所に対して修正に必要な資料を添付した書面をもって地図の訂正あるいは地積の更正等の申出ができることとされています。
本来、登記所に送付される成果(地籍図・地籍簿)の写しは、国の機関の認証に基づくものですからその成果について認証後に誤りを発見したとしても、実施機関たる市町村は、勝手にその成果を修正することは原則としてできません0しかしながら、調査の誤りが明らかであり軽微な場合には、なるべく当該部分の成果をいかすことがこの事業の目的にかなうことであり、速やかに是正するのが望ましいことから、便宜実施市町村の担当者による補正が認められています0また、他の地図訂正の申出と同様に、所有者からでも訂正の申出をすることは出来ますが、調査の誤りの発見、誤った原因等について一番知り得る実施機関が、現地の境界を再確認し、測量をした結果に基づいて地籍図等の訂正の手続をとるべきでしょう。
ところで、純粋な意味での地籍図の訂正とは、成果に基づく登記後に誤りが発見されたものについてこれを是正することですが、地籍調査で筆界未定地とされた土地についての筆界線の記入・現地確認不能地とされた土地が確認された場合の筆界線の記入についても、その調査が誤った場合、地図訂正の手続に準じて関係土地所有者から直接登記所に訂正申出がなされることになります。


Q4.筆界線(点)の訂正はどのようにしていますか

A 地籍図の筆界に誤りが生じる原因として、一般的に次の場合が考えられます。
@ 一筆地調査及び一筆地測量は正しい筆界に基づいてなされたが、作図の段階で筆界点の結合を誤った。
A 一筆地調査においては正しい筆界を確認していたが、一筆地測量の際に筆界を誤って測量した。
B 一筆地調査の段階で、隣接土地所有者の立会いが得られなかったため、誤った筆界で調査され、誤った筆界で一筆地測量がなされた。
筆界に誤りが生じた原因は、いずれも実施機関においてその確認ができ得るところから、原則として実施機関による修正の申出が望ましいと考えられます。
調査上の留意点
1.誤りの生じた原因によって調査の方法が異なることと、地籍調査の誤りか、あるいは筆界を移動したものかの判断が容易でないことに注意をしなければなりません。
2.少なくとも公的機関の認証手続を経ているものについて、それが誤りだというからには、実施機関が自ら誤りを認めて修正申出をすれば問題ないとしても、実施機関の誤認がどのようにして生じたかについて調査しなければなりません。
3.地籍調査の実施機関には、筆界を創設する権限はなく、現存している筆界を現地で確認し、その位置を記録するのみであることから、実施機関からの修正申出といえども、必要とあれば隣接土地所有者並びに利害関係人の承諾書の添付を要求して、その固有の筆界の確認をしなければなりません。
立証資料
@の場合には、実施機関が保管する平板原図及び面積計算簿等の関係資料
Aの場合には、調査図素図、地籍調査票、さらには実施機関の担当者の証言あるいは現地古老等の人証明、物証等によります。
Bの場合には、改めて関係者全員の立会いを求めて現地調査を行い、人証、物証を参考に固有の筆界の確認を行うようになります。



Q5.筆界未定地の是正はどうすればよいのでしょうか

A 地籍調査に当たって、筆界について争いがあったり、宅地造成事業等がなされて筆界が確認されなかった場合には、地籍図上に当該土地の筆界が表示されず、例えば2番、3番の土地の筆界が未定であれば、地籍図上の該当箇所「(23)」のような表示がなされます。
このように筆界未定の表示がなされた成果で、登記所に送付されたものの中には、筆界未定地が23筆のものから、宅地造成事業がなされたこと等により数十筆に及ぶ土地が筆界未定とされ、その地籍図が23枚にわたるような広大な地域のものもあります。
調査上の留意点
1.原則的には、筆界未定地の全部について筆界を記入することが望ましいのですが、筆界未定地が多数筆で広範な地域にあって、その一部の筆界が確定した場合にどのような処理をすべきか問題となります。
この筆界未定地部分については、各土地の地籍が明らかにされないことから、国土調査に基づく地籍調査が実施されていない部分であると解するよりも、調査の結果として筆界が確定できなかったということだけであり、少なくとも筆界未定地を囲む周囲との筆界は明確にされ、かつ、筆界未定地域内に含まれる土地が調査される等、不十分とはいえそれなりの成果が認容されたものと解すべきと思われます。そこで、筆界未定の部分は地図の備付けがない地域とみなし、昭和41125日付け民三第96号法務省民事局第三課長照会、同21日全調総発第60号・全国土地家屋調査士会連合会会長宛て回答の趣旨によって訂正申出をなさしめ、さらに、提出された土地の所在図に基づいて、地  籍図に当該土地の区画を書き入れることとする取扱いが適当と思われます。
2.筆界未定地内の土地について分筆等の表示に関する登記をする場合には、その前提として筆界を記入する地図訂正の申出が全筆においてなされることが望ましいことは、前述の通りですが、筆界の未定部分が当該分筆部分に全く関係のないことを登記官が確認できるような事例であれば、他の土地との筆界が確定されないまま分筆の登記をすることが出来るとされています。(この取扱「通達」は、回答に係る実例に限定すべきものとされています。)
3.これらの取り扱いは、いずれも隣接土地所有者の承諾が前提となりますが、承諾の有無にとらわれて安易に処理してはなりません。筆界を記入した結果、筆界未定地に収まらない土地が生ずることが考えられるので、現地の占有状況を十分に調査する必要があります。


Q6.現地確認不能地の訂正はどうすればよいのでしょうか

A 国土調査において、長狭物の敷地内にある土地のために調査が行われなかったものと、長狭物の敷地外で現地が存在せず、不存在として処理するにも所有者の承諾が得られないために、現地確認不能地として調査される土地があります。いずれも土地登記簿上には、その表題部の欄外に「国調現地確認不能地」の旨が便宜注意書きがされるのみで、地籍図上には、何らの表示はされていません。長狭物内の現地確認不能地については、通常はそれらの土地について取引されることが少なく、地籍図上にその位置を明確にする必要が生じない場合が多いのです.しかし、道路・鉄道用地等が用途廃止等により払下げや売却がなされるときには、当該土地を現地で確認の上、地籍図上にその位置を明確に表示し、土地の特定をしなければなりません。
調査上の留意点
長狭物内の現地確認不能地については、地籍図に長狭物そのものは図示されているために、現地で確認された土地を図上に表示することは比較的容易と思われます。長狭物外で旧土地台帳附属地図等に筆界が表示され、登記もある土地について、現地が確認できないとされたものであって、地籍調査の後に所有者から当該土地が判明したとして地図訂正の申出がなされた場合は、当該土地の位置する土地の地積についても変更を生ずる結果となるので、地積更正の登記が必要となります(例えば、確認不能地が5番であったところ、5番が3番の土地内に位置することが判明した場合、3番の地積は当然減少することになります。)しかしながら、地籍調査による現地調査の際に、現地において確認不能とされたものであるからと安易に訂正に応じることなく、調査の経緯や資料を踏まえて慎重に処理しなければなりません。



Q7.地図訂正に応じられない事例がありますか

A  登記所備付地図は、その作製経緯や精度が多種多様であるために、地図訂正の処置についても、当該地図の性格や個々の事例によってその対応もおのずから異なってきます。

1
.地図訂正の対象となる地図の性格によって、その訂正の是非は次のように考えることができます。旧土地台帳の附属地図の訂正にあっては、改組図(野取絵図・談合図)のように見取図程度の地図が訂正の対象とされた場合には、地番配列の是正等はともかく、筆界や土地の形状の訂正等には地図の性質上応ずることができません。更正図(分限図)のように比較的精度が高く、土地の形状も槻ね現地と一致していると評価されている地図であっても、その地図のもつ精度を超える訂正は地図全体の不均衡を来すことになり、その訂正には応じられないことになります。
国土調査による地籍図の訂正にあっては、国家機関の事前承諾を得て認証された地籍図の内容を安易に変更、訂正することは好ましいことではなく、地籍図に表示された土地の位置、形状が著しく異なるような訂正には、原則として応じられないでしょう。
土地改良法及び土地区画整理法等による換地処分後の確定図(土地の所在図)の訂正にあっては、その地図が、事業によって確定された土地を測量し作図されたものですから、地図を訂正することによって面積に誤差が生じ、換地処分そのものに影響が及ぶような場合であれば、原則としてその訂正には応じることができないでしょう。

2
.次に、地図訂正に応じられない申出の事例としては、
@ 隣接する土地の所有者が土地の一部を交換や売買等によって所有権を譲渡し、地図と現地の占有関係が一致しなくなったものについて、筆界線の訂正をもって是正しようとするもの
A 地図が現地と一致しているにもかかわらず、所有権移転登記の際に誤って他の土地について登記を完了したために、これを是正しようと地図訂正地番の振替を求めるもの
B 分筆登記の申請に誤りがあったために土地所有者の意思に相違した分筆がなされたものを、地図訂正によって是正しようとするものがあります。

これらの事例については、各々次の事由によって、その訂正に応じることはできないことになります。

@の事例は、隣接土地所有者間の合意(交換、売買等)によって所有権の及ぶ範囲の変更を行ったとしても、これによって実体上の筆界線が変更(移動)するものでなく、一部譲渡された土地については、分合筆及び所有権移転の各登記手続を経なければ現況に一致させることはできないからです。
Aの事例は、所有権移転登記が目的物を誤ってなされたものであって、その登記は実体に合わない無効の登記ですからこの登記は抹消されるべきものなのです。地図制度を無視したものであり、訂正に応じられない典型的な事例といえるでしょう。
Bの事例は、土地の所有者の意思と相違した分筆がなされたとしても、登記官が分筆登記申請書の添付書面として提出された地積測量図でその位置と範囲を決定したものであって、既に創設された筆界であるから訂正すべき誤りはないと解され、訂正に応じることはできないのです。



権  利  関  係

Q1.買収予定地に「条件付所有権移転仮登記」(条件 農地法第3条の許可)という仮登記があり、調査の結果この仮登記上の権利者は既に死亡していることが判明しました。今般その相続人との話し合いにより、この仮登記を解除し、その抹消登記を申請することになりました。その手続きについて説明して下さい。

A  まず仮登記について簡単に説明しましょう。
仮登記は、不動産登記法第
2条の規定により認められるもので、不動産に関する権利変動はすでに生じているが、その登記の申請に必要な手続上の条件が具備していないとき、又は、不動産に関する権利変動はまだ生じていないが、将来その権利変動が生じる法律関係が発生している場合(売買予約、代物弁済予約、停止条件付売買契約など)にするもの とがあり、前者を21号仮登記、後者を22号仮登記と呼ぶこともあります。この仮登記は、両者共将来すべき本登記の順位を保全するためにされるものです。
農地の場合、当事者間で売買の合意が為されても、農地法所定の許可(又は届出の受理)がなければその効力は生じません。その許可があるまでにかなりの期間を要する場合もあり、その間買主は不安定な立場に置かれることになるため、本登記が出来るまでの間、仮登記をしてその順位の保全をすることとなるのです。
この仮登記上の権利は、第三者に譲渡することが出来、その登記をすることも出来ます。また仮登記上の権利者が死亡すれば、相続により仮登記上の権利が相続人に移転することは他の一般の相続と何ら変わるところが無く、その相続登記の手続きも同様です。
つぎに抹消登記手続きについて説明しましょう。
仮登記の抹消も一般の抹消登記の通則どおり、所有権の登記名義人を権利者、仮登記名義人を義務者として共同申請することになりますが、仮登記の特則として単独申請による抹消も認められています。
すなわち、仮登記名義人は仮登記に関する登記済証を添付して単独でその抹消登記の申請をすることが出来、また登記上の利害関係人は、仮登記名義人の承諾書(印鑑証明書付)又は、対抗することの出来る裁判の謄本を添付して単独で抹消登記の申請をすることが出来るとされています。
設問の場合、仮登記の相続による移転登記終了後、所有権の登記名義人を権利者、仮登記名義人(仮登記の相続人)を義務者として共同申請するか、仮登記名義人が単独で抹消登記の申請をすることになります。この場合所有権に関する登記の抹消として、仮登記名義人の印鑑証明書を添付しなければならないことに注意してください。



Q2.遺産相続について説明して下さい(シリーズ「相続人の確定」その1)。

A 相続が開始した後に、その相続人が死亡したときには、その者の相続人について新たな相続が発生しますので、代襲相続は生じません。
代襲相続は、被相続人
()について相続が開始する以前に、本来ならば相続人となるはずであった者(B)が@死亡していた場合、あるいはA欠格、B廃除により相続権を喪失していた場合に、その者に代わって相続人となるという制度です。(民法第8872項)
本来ならば相続人となるはずであった者(B)が、Aの相続開始時にたまたま死亡していたり相続権を失っていたからといって、被相続人の孫にあたる者(C)の相続権まで否定するのは、公平の理念に反すると考えられたためです。
代襲相続制度は、このような考えに基づいていますので、相続人の配偶者や被相続人の直系尊属(親)については、代襲相続は認められていません(同条2項)。
また、代襲相続は被相続人のひ孫やおい・めいについても認められていますが、おい・めいの子ども(甥孫・姪孫)については認められていません(同条23項)。
これは、代襲相続人の範囲を拡張しすぎることは、いわゆる「笑う相続人」を生むことになり、相続法の理念に整合しないからです。
被相続人について相続が開始した後に被代襲者が欠格・廃除になったときでも、その子は代襲相続をすることができます。
それでは、相続開始後に被代襲者が相続の放棄をした場合には、その子は代襲相続をすることができるでしょうか。 現行法上は、相続放棄は代襲原因とされていませんので、代襲相続をすることはできません。 これに対しては、欠格・廃除によって相続権を失った者の子が代襲相続できることと均衡を失することではないかとの立法論上の批判があります。



Q3.宗教法人の登記がされていない神社(旧宗教法人)が、明治後期に所有権登記してある土地を貫収することになりました。この神社は現在、周辺の一部住民により管理されているだけで、神社を代表する者などはいないようです。どのように手続きを進めていけばよいでしょうか。

A 宗教法人に関する法令等は、現在の宗教法人法のほか、かつては旧宗教団体法、旧宗教法人令などがありました。
旧宗教法人令(昭和201228日勅令第719号)附則(昭和2122日勅令第70号)第2項の規定によると、本令施行の際に現に地方長官の保管に係る神社明細帳に記載せられた神社は、これを宗教法人令に依る宗教法人とみなされ、その宗教法人は規則を作りこれを主管者の氏名及び住所と共に本令施行の日より6ケ月内に地方長官に届出をしないと、その宗教法人は、その届出期間満了の時に於て解散したものとみなされました。(同附則第3項及び同第4項)
そして、地方長官が当該届出を受理したときは、命令の定めるところにより、登記所に宗教法人令による登記の嘱託がなされたのです。(同附則第5項)つまり、宗教法人令施行当時、神社明細帳に記載されてある神社はすべて宗教法人であり、法人登記は必要はなく、同附則によりあらたに法人登記が必要となったのです。(因に、宗教法人令は昭和2643日法律第126号、宗教法人法附則第2項で廃止。)
以上から判断しますと、ご質問にある神社は同附則第3項による届出をしなかったため、同附則第4項により解散したものとみなされたと推定されます。
そうであれば、解散した神社は清算事務の範囲内において、その結了に至るまでは清算法人として法的人格は存続するものとみなされ、解散神社の主管者が原則としては清算人となって、清算事務を行い、清算法人を代表することになります。
清算人である主管者を欠いている場合等は、同附則第6項に基づき、宗教法人令施行の際に代務者とみなされた者(大宮司、宮司、社司、府県社以下神社職制第2条の神社の社掌等)が法定清算人となります。(昭和2196日民事甲第562号民事局長通達参照)が、このケースではみなし代務者も不明若しくは不在であろうと思われます。
代務者とみなされた者もなく、法人登記もされていないなど清算人も選任できないような旧宗教法人が当事者となる場合ですが、宗教法人法附則第4項の規定によれば、「旧宗教法人令は宗教法人法施行後もなお効力を有する」上ありますので、同令第17条による民法第75条「清算人たる者ないとき又は清算人の欠けたるための損害を生ずる虞あるときは裁判所は利害関係人の請求により清算人を選任することを得」の規定をこの解散した神社にも準用し、利害関係人として裁判所に対して旧宗教法人残余財産処分をするための旧宗教法人の清算人一時職務代行者選任申請をして、清算人一時職務代行者を選任してもらい、その者との間で今後の買収の手続きを進めていけばよいと考えます。



Q4.相続人の範囲と法定相続分について説明して下さい。
A  民法は、相続人の範囲と順位、それぞれの法定相続分について、細かく定めています。その基本的な内容は、
1. 被相続人の子と配偶者がいる場合の法定相続分は、
@ 子が2分の1
A 配偶者が2分の1
(注)1.子は相続人血族の中で第1順位とされています(民887条第1項)0実子・養子の別はなく、複数の子がいる場合にも、各自の相続分は均一です。(民9004号本文)。 非摘出子は摘出子の2分の1になります(同号ただし書)。
相続人の子が相続開始前に死亡又は相続人の欠格事由に該当し(民891条)、若しくは廃除(民892条・893条)された場合は、その者の子(被相続人の孫)が代興して相続人となり、孫も前記のいずれかの事由に当たるときは、孫の子が相続するというように、次々と下の世代の子が代襲して相続人となります(民88723項)。
(注)2.配偶者がいる場合には、その者は常に相続人となります(民890条)。
配偶者とは、被相続人と婚姻関係にある夫又は妻をいい、内縁関係にある者又は離婚した者は含まれません。
2. 被相続人に子がなく、配偶者と直系尊属がいる場合の法定相続分は、

@       配偶者が3分の2
A       直系尊属が3分の1

3. 被相続人に子がなく、直系尊属が生存していない場合の法定相続分は、

@       配偶者が4分の1
A       兄弟姉妹が4分の1
となります。
(注)昭和56年11日の民法改正以降は、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りとなりました。 なお、兄弟姉妹には、遺留分は認められていません。(民1028条)。


Q5.昭和5611日の民法改正前後では、相続分にはどのような違いがありますか。具体的な例を示して説明して下さい。

A  [1] 子と配偶者が相続人であるとき
(前記
A1参照)


A  [2] 配偶者と直系尊属が相続人であるとき (前記A2参照)

A  [3] 配偶者と兄弟姉妹が相続人であるとき (前記A3参照)

A  [4] 配偶者だけが相続人であるとき(ただし、祖父母、曽祖父母は相続開始前に死亡している)

A  [] 子と配偶者である場合に、子について嫡出である子と嫡出でない子がいるとき
昭和
2253日から昭和551231日までの間に開始した相続

昭和5611日以降に開始した相続